「日本の腹の括り方」

本日の午後、神田神保町の小学館の前を歩いておりました。

 

道路にあいていた穴に足をとられ、連れの友人が顔面から倒れました。

 

口唇が割れて、鮮血が口から溢れ出ています。

 

その時でした。「大丈夫ですか」と駆け寄ってきて抱き起してくださった警察官がいました。

 

「交番に来てください!手当をしますから」と導かれて、交番で救急箱から薬とカットバンで血止めをしていただきました。

 

応急処置を手際良くしたお陰で、傷口からの流血が止まりました。

 

見て見ないフリなどいくらでもできたのに、走り寄って助けてくださった飯塚巡査部長に心より感謝申し上げます。

 

ありがとうございました。ナイスですね!

 

 

 

人間関係はキレイゴトではすみません。相手を上手に利用することができなければ、お仕事では利益をあげることができない現実があります。

 

相手に利用されているお人好しでは駄目なのです。

 

しかし、お人好しでない人間のところには人が集まってきません。お人好しだから商売が上手くいっているケースが沢山あるのです。

 

否、お人好し位でなければ商売が上手くいかない、といってもいいぐらいです。

 

どうしてお人好しでなければ商売が上手くいかないのでしょうか。

 

自分だけが儲かればいい、という人は人から好かれないからです。

 

その欲の深さが嫌われ、いつ裏切られるかと警戒されてしまうのです。

 

警戒ばかりしていては心が通じることはありません。信じることができなくなることで人間関係が損なわれるのは互いにとって大きな損失です。

 

他人を信じることは、実のところ自分に大きなメリットをもたらすことになるのです。

 

お人好しの人間は、そうしたギスギスした人間関係を和らげる存在です。

 

そのお人好しの人柄が皆に安心を与え、心と心を結びつける接着剤の役割を果たします。

 

お人好しがいることによってチームに団結が生まれ、力となって、スポーツでは勝利を、仕事では成果をあげることができるのです。

 

生存競争の激しい社会のシステムの中では、お人好しの人物の存在で社会は機能し、全ての人に利益をもたらすことができます。

 

優れた会社のトップやチームのリーダーに、お人好しの人物が多いのは、このことによります。

 

仕事ができるから、と企業のトップに立っているケースは少なく、人柄の良い人物がチームの和の結束を強める存在としてリーダーに祭り上げられています。

 

人間は強欲であるために、自分の欲を自分でコントロールすることが得手でありません。

 

しかし、信じ合うことによって互いに利益がもたらされることを知れば、自然と強欲を控え目にします。

 

信じ合うことができれば社会にとって最善であり、人間に大きな利益をもたらします。

 

その思想の核となるのが、お人好しといわれる人間の存在、です。

 

生き馬の目を抜くような現代のビジネス社会で、お人好しであることは不可能に近いことです。

 

が、生き急ぐことがなく、お人好しであることは、人間いかに生きるべきか、を学んだ人間が涵養できる人格です。

 

欲に溺れず、才に走らず、和を尊び、利をわきまえれば、強欲とは無縁なお人好しの人格の効用はMBAで最も教えなければならない知識です。

 

お人好しとは、軽薄、の裏返しの意ではないのです。

 

お人好しとは深い人格を持ち、全ての人に利益をもたらす自己犠牲の人格です。

 

バカなことをやっている芸人が愛され、陰では尊敬されているのはこのことによります。

 

芸人は大衆に自分が笑われている意義を再確認すべきです。

 

自らの栄達や虚栄心を超えて、大衆はそうした、自分を犠牲にして笑いを届ける、身を捨ててこそ浮かぶ瀬がある姿に感銘し、エールの笑いを送っているのです。

 

AVが支持されている理由も同じことによります。

 

市井の人たちの性へのあくなき探求心や欲望は、AVの人間の域をはるかに超えています。

 

しかし様々な社会的制約を受けて生きている立場上、そのことをあからさまにするワケにはいきません。

 

AVはそうした市井の人々の夢の実現であり、性の予習復習です。

 

決して崇められる存在ではなく、ともに楽しむ仲間であるとの意識で支持を受けています。

 

素っ裸になって勝負したら、とてもかなわぬSEXマッチョは世間にゴマンといることを、AV関係者は常に肝に銘じて謙虚に日々の制作活動に邁進すべきでございます。

 

願わくば、誰とて「アイツはなんというお人好しだ」と言われる人生を送ることができるなら、これに勝る栄誉はないということです。

 

社会で一流と言われる人たちを沢山知っています。

 

知識人から企業経営者から芸能人まで、人気があって評判のいい人間に共通していることがあります。

 

愛すべき人間である、ということです。どこか間が抜けているのです。人が良くて、よく騙されています。信じられないほどに社会の一般常識からかけ離れた人の好い行動を平気でします。

 

そうした「愛すべき人間性」がその人物の魅力となり、その評価を社会的名声まで高めた、といえるのです。

 

一流といわれる人間でコレと分かる欠点のない人間はいない、といっても過言ではありません。

 

大衆は優れた能力以上に人並外れた情けなさをこよなく愛して止まない、“判官贔屓”なのでございます。

 

知り合いに金貸しのオヤジがいます。このオヤジ、金貸し以外に不動産の売買の仕事もしていました。

 

一台で数千億円の富を蓄えた、といわれる伝説の成金男です。

 

この成金男、どうして巨万の富を蓄えることができたのでしょうか。

 

無類のお人好しだったからです。

 

来る者拒まず、と寄って来る人間には誰彼構わず金を貸し与えました。

 

勿論、然るべき担保をとってのことですが、借金を申し込む人間の希望の金額にできるだけ沿うお金を貸しました。

 

当然のごとく、担保流れとなって貸金を回収することができなくなることは度々でしたが、成金男は意に介することなく金を貸し続けるのでした。

 

あの男のところに行けば、金を貸してくれる、と評判になりました。

 

評判を聞いて、俺も私もと借金を頼む人間が押しかけてきて、大繁盛となったのです。

 

成金男が商売繁盛となったのは金の貸し方のキップの良さ、もありましたが、最も大きなポイントはその「人柄の良さ」にありました。

 

成金男は借金をして返済が滞っても、返すことのできない人間を責め立てることをしませんでした。

 

普通の金貸しは病気の人間の布団をはいででも返済を迫るものですが、成金男はそうしたアコギなことをせずに、返すことができるようになったら返せばいい、と鷹揚に構えたのです。

 

一度返済に失敗しても、次に担保を持って相談に行けば、前回の借金の踏み倒しを不問にして新たな借金の申し入れに応じてくれるのです。

 

こうした一見お人好しと思われる成金男の商売の手法ですが、この懲りないヤリ口が成功の秘訣となったのでした。

 

金を借りたいと思ったり、不動産を売りたいと考えた時にはどうせなら、あの「人の好い」成金男のところにまた相談に行こう、と客が引きも切らずとなったのでした。

 

貸金業も不動産も、客商売です。

 

お客がいてはじめて仕事になるのです。人気がある、ということはどんな客商売にとっても生命線となります。

 

一度ならずに度までも成金男を騙して金を借りたり、採算の合わない不動産を買わせた人間たちは、ウマい話があると、競って、人柄に惚れている成金男のところに持ってくるようになるのでした。

 

いつぞやの恩返しに、と極めて分かりやすい人情が働くのでした。

 

不思議なもので、インチキばかり続けていた人間が、目をムくようなとびっきりの儲け話を持ってくることがあるのです。

 

貸すか貸さないかもほとんど即断即決することから、金策に走り回っている中小企業のオヤジにとっては救いの神的存在となりました。

 

駆け込むのは中小企業のオヤジばかりではありませんでした。

 

名前を聞けば誰でも知っている一流企業の社長が、銀行融資までのつなぎの資金の都合や株価を支える相談に成金男のもとを訪れていて、応接室ですれ違うこともしばしばでした。

 

その中にはアジアのリゾート王と知られた、故イ・アイ・イ・インターナショナルの高橋社長や故ヴァーナル化粧品の社長などがいました。

 

特にイ・アイ・イの高橋社長とはウマが合い、何度かお食事をご一緒させていただいたことがあります。

 

イ・アイ・イの高橋社長は倒産し、逮捕されて裁判にかけられた後も意気軒昂でした。

 

成金男はイ・アイ・イの高橋社長を息子のように可愛いがっていて「もう一度この男に天下をとらせてやる」と口癖のように言っていました。

 

その甲斐あって、高橋社長が急死する前にはグァム島にあった高級リゾートホテルを取り戻すことに成功していました。

 

これから銀行を相手にドサクサに紛れて乗っ取られた債権を取り戻してやる、と意欲を見せていたさ中の突然死でした。

 

人柄の素晴らしさに魅せられていただけになんとも無念に思われたものです。

 

一世を風靡したヴァーナル化粧品が福岡のテレフォン受付センターのビルを買収する際には、この成金男がお金の融通をしています。

 

そうした関係があってでしょうか、成金男とは「身内の兄弟のように親しい関係を築いていました。

 

手前どもが成金男と知り合ったのは、借金を申し込みに行ったからではありません。

 

先方から人を介して「会いたい」と言ってきたのがきっかけでした。

 

最初に会ったのは六本木の交差点近くのカウンターだけのショットバーでした。

 

成金男は挨拶もほどほどに「監督、俺の金を使ってくれないか」と口を開いてきたのです。

 

初対面の、まだ会ったばかりの人間にいきなり「俺の金を使ってくれないか」とは不躾な話でございます。

 

が、「俺の金を使ってくればいか」の不躾な話が、手前どもは大好きな口でございます。

 

「いいですよ、いくらぐらいのお金ですか?」と二つ返事で尋ねますと「3千万円でどうだ」と言うのです。

 

3千万円は大金です。「担保は何もありませんよ」と言うと「担保なんかいらない、借用書1枚でいい」と言うのでした。

 

翌日、成金男の会社に行き、借用書と交換に3千万円 を受け取って帰りました。

 

帰りの際に「俺の伊豆にある別荘を使って今度撮影をしてくれないか」と頼んできました。

 

別に、カラミのシンプルなAVの撮影はベッド一つあればどこでしても同じですから「いいですよ」と快諾しました。

 

それから1週間後、女優さまを引き連れて、伊豆の別荘に行きました。

 

別荘は日本風の造りで豪壮なものでした。庭には100坪ほどの池があり、金、銀、赤、青の大きく育った錦鯉が群れて泳いでいます。

 

 借景とした小山には滝から水が、池に向かって流れていました。

 

玄関だけでも10畳はある大きなものでした。

 

正面には大きな木版に一刀彫りの大迫力の虎が飾られていました。

 

応接間には大小の壺が置かれているのが目につきました。中でも高さ40センチほどの壺は1億円以上の値がついているとのことでした。

 

その他、掛け軸や骨とう品の置物が所狭しと置かれてありました。

 

成金男は「この室にあるものだけでも30億は下らない」と豪語していました。

 

せっかくだから、この応接間であの1億円の壺をバックに撮影していいでしょうか、と尋ねると、「勿論だ、好きにしてくれていい」との返事です。

 

早速準備して、その応接間で撮影を開始しました。

 

男優は手前どもが務め、女優さまと2人きりのハメ撮りの撮影となりました。

 

撮影の途中、応接間のドアが小さく開いているのが分かりました。成金男が覗いているのです。

 

案の定、でした。

 

夫婦のまぐわいでもあるまいし、売り物のSEXを撮っているのだから、と気にすることなく撮影を続行しました。

 

東京に戻ると、その頃経営危機に陥っていたビデオ安売り王の関連会社の社長が会いにやって来ました。

 

至急1億円のお金が必要になったのでなんとか都合をつけて欲しい、の頼みです。

 

借金50億円を抱えて倒産し、そのうちの20億円の金をようやく返済して間もない頃でした。

 

2年間で20億円の返済は肉体的にも経済的にも限界に近い難業でした。

 

ようやくホッと一息ついているさ中のことで1億円を用立てる気力も体力も残っていませんでした。

 

しかし依頼してきた社長は、その金がなければ潰れてしまう、と必死の形相です。

 

成金男の顔が浮かびました。

 

その場から電話をして事情を話すと「お前さんが保証人になってくれるなら」の言葉が返ってきました。

 

乗りかかった船です。「わかりました、私が保証人になりますのでお願いします」と頼みました。

 

翌日、件の社長と一緒に成金男の会社へ行き、1億円の借用書を書いて、その場で5千万円の入った大きな紙袋を2つ、受け取りました。

 

それからまた安売り王の関連会社の社長から、もう1億円なんとかならないか、と借金を頼まれました。

 

成金男に再び電話をして申し込むと、「いいよ、お前が保証人になるのなら」と承諾してくれたのです。

 

 前回と同じように会社に行って借用書を書いて、紙袋に入った現金を受け取って、の段取りとなりました。

 

しかし、2度あることは3度ある、でそれから1週間もしないうちに、またしても1億円の借金を申し込まれたのです。

 

これを最後、との約束をして再度成金男に借金の申し入れをしましたら、またしても「分かった、保証人になるのなら」との承諾を貰いました。

 

いつものように成金男の会社に行って借用書を書いて、安売り王の関連会社の社長と金を受け取ってビルの外に出ました。

 

挨拶もそこそこに別れを告げて、タクシーに飛び乗って去って行く社長を見送りながら、あの金はもう二度と戻ってくることはないに違いない、との思いが頭を過りました。

 

予想通り、それから2週間後、ビデオ安売り王は倒産し、社長をはじめとする会社の幹部連は雲隠れとなぅて3億円の借金だけが残りました。

 

ようやく命を削って20億円を返済したばかりなのに、また3億円の借金を背負うことになった、と気分が落ち込みました。

 

それよりも、気持ちよく3億円を貸してくれた成金男にどのように詫びて申し訳をしたらいいか、と思うと暗澹たる気持ちになりました。

 

翌日、頭を丸めて成金男のところへ行き、土下座をして詫びました。

 

「お前さんがやったわけではないから、責めても仕方がないけど、責任はとってもらうよ」と穏やかな口調で諭すように話されました。

 

「勿論です、責任はとらせていただきます」と答えましたが、申し訳なく思えて頭を上げることができませんでした。

 

いっそ怒鳴られて殴られた方がどれほど楽であったか知れません。

 

ただ、返済の方法が一つ残っていました。

 

関連会社の社長は、安売り王のビデオのコピー工場を経営していました。

 

そのビデオのコピー工場の工場長とは顔見知りでした。

 

倒産したと聞いて、すぐ工場長に電話をして、「そこにある在庫は3億円の担保に入っているから誰にも渡さないように」と伝えていました。

 

念のため、中から鍵をかけて誰が来ても開けないように、と約束させていたのです。

 

見返りに1年分の給料を退職金として支払うこともうけあいました。

 

成金男の会社を出てコピー工場に向かいました。工場は練馬の田園地帯にありました。

 

 バラックの、体育館のような大きな工場に着いて工場長の手引きで中に入りました。

 

工場の中には段ボールに入ったビデオの山がうず高く積まれていました。

 

奥にはコピー用のビデオデッキが300台据え付けられていました。

 

工場長に聞けば、在庫は100万本近くあるということでした。1本200円で処分すれば少なくとも2億円は回収できる見込みができました。

 

それから業者仲間に手配をして、100万本の在庫を処分しました。

 

金額は売り急いだせいもあって1億5千万円ほどにしかなりませんでした。

 

しかし、1億5千万円を回収したことはせめてもの慰めとなりました。

 

工場長には退職金がわりにビデオデッキ300台と在庫のマスターテープの1000タイトルほどを渡すことで話をつけました。

 

4日ほどして回収した1億5千万円の金を持って、成金男のもとへ届けました。

 

成金男は「残金は裁判をして返して貰うから」と言いました。

 

そして成金男から債券買収の裁判が起こされました。一度裁判が開かれましたが、原告と被告は裁判によらず、双方話し合いで決めたらどうか、と裁判長から和解の勧告をされました。

 

裁判には成金男は出廷せずに、代理人の顧問弁護士が出廷していました。

 

別室で顧問弁護士と向き合うと「社長の方から毎月3万円で5年で180万円払う、ということではどうか、という話があります。社長は監督を裁判にかけて追い詰めようという考えはありません。ただ裁判をして白黒つけハッキリさせて損金として落とさないと、未回収金はいつまでも利益にされて税金を払わなければならないから、裁判を起こしたまでです。あしからず、という伝言を承っております」との話がありました。

 

なおさら、成金男に申し訳が立たない気持ちが募り、言葉もありませんでした。

 

成金男の申し立てを飲むことを伝え、裁判は決着しました。

 

翌月から月末に毎月3万円を持参し、成金男のもとへ届けました。

 

3万円の入った封筒を受け取ると、成金男は「また撮影があったら伊豆の別荘を使っていいんだよ」と話しかけてきました。

 

「俺は人を恨んだりしないよ、人を恨んで何がいいのか、というのが俺の生き方だから」と語る成金男は穏やか笑みを湛えていました。

 

その表情は知的にさえ思えたものです。

 

成金男は好色でした。英雄色を好む、と言うように、愛人を3人抱えていることを白状していました。

 

その内の一人はトレンディ女優といわれた女優の・・・

 

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